犬に必要な栄養素は、タンパク質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラル。
これらの栄養素は不足しても摂りすぎてもいけません。何でも適量にということです。
不足するとどうなり、摂り過ぎるとどうなるのかを知って、愛犬の健康管理をしてあげましょう。
目次
犬に必要な5大栄養素
タンパク質は、犬の体を形成するために必要です。
脂肪や炭水化物は活動するためのエネルギー源で、タンパク質、脂肪、炭水化物を3大栄養素と言います。
ミネラルは3大栄養素を助ける働きをし、ビタミンは体調を整える役割をします。
これらの栄養素は不足するとどうなるのでしょうか。
また、摂りすぎるとどうなるのでしょうか。
1.タンパク質
タンパク質を摂り過ぎると余剰の分はエネルギーに利用されますが、エネルギーが足りていると脂肪に転換され、過剰な場合は腎臓に負担をかけることになります。
不足すると発育が遅くなったり、体重減少や被毛の発育も悪くなります。
2.脂肪
脂肪は、エネルギー源(活動限)であり体温維持に役立ちます。
ビタミン類の吸収を助けたり食べ物の嗜好性を高める役目をしています。
皮膚や被毛を美しく保つためにも必要な栄養素です。摂りすぎると急性膵臓炎発症の危険があります。
不足すると被毛の光沢が無くなり、皮膚炎の原因になります。
3.炭水化物
炭水化物はエネルギー源として使われますが、過剰に摂取した分は糖分に転換され、肥満を招くことになります。
肥満は様々な病気の引き金になるので要注意です。
不足するとエネルギー不足で疲れやすくなります。
肥満対策フード
犬が太る原因の一つに炭水化物の摂り過ぎがあります。
しかし、ドッグフードに含まれる炭水化物はエネルギー源なることで、タンパク質がアミノ酸必要量を満たすという大事な役目を担っています。
最近はセルロースという不溶性炭水化物を配合したドッグフードも考えられています。
セルロースはカロリーが低く満腹感があるので、ダイエット対策にはもってこいです。
牛乳は与えないほうが良い
犬は哺乳類なので牛乳を与えても大丈夫だと思いがちですが、牛乳の乳糖という成分が問題になります。
犬は乳糖の分解酵素(ラクターゼ)が少ないので、消化できずに下痢を起こしてしまいます。
4.ビタミン
ビタミンの役目は体調を整えることです。
水溶性ビタミンは過剰に摂取された分は体外へ排出されますが、脂溶性ビタミン(油脂に溶けるビタミン。
ビタミンA・D・E・Kなど)は体内に蓄積されます。
脂溶性ビタミンが過剰になると、食欲不振、体重減少などを起こし、不足すると成長に影響をもたらします。
ビタミンの種類
ビタミンA、ビタミンDを過剰摂取すると、食欲不振や体重減少をもたらします。
ビタミンDは疲労や歯や顎の変形になることもあります。
不足すると、ビタミンAは歯の欠落や成長の遅延、ビタミンDは高カルシウム血症(血液中にカルシウムが過量に含まれる状態)、歩行困難、ビタミンEは血液凝固時間(血が固まるまでの時間)増加がみられます。
5.ミネラル
ミネラルは、タンパク質、脂質、炭水化物の栄養素をサポートすることで、犬の体調を整えたり、骨や歯などの組織を構成する役目をします。
動物性タンパク質がエネルギーに転換されるときに多くのミネラルを必要とします。
ミネラルはバランスよく吸収する必要があり、偏ったミネラルだけを過剰摂取すると他のミネラルの働きが低下するという特徴があります。
ミネラルの種類
犬に必要なミネラルは12種類。
うちカルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄分、亜鉛、ヨウ素が代表的な種類としてあげられます。
カルシウムは骨や歯の原料、鉄分は血液の成分に含まれていて貧血防止に役立ちます。
ナトリウムは、筋肉・神経の興奮を鎮め、マグネシウムは骨の形成を助け、カリウムは心機能、筋肉の機能を調節する働きを持ちます。
亜鉛は、代謝調節に関わっています。
水分は栄養素ではないが犬にも必須!
犬に必要な水分量は、体重5kgの犬で650mℓ、10kgで1.3ℓです。
水は生きていく上で欠かせないものですが、過剰に水を飲むようになると病気を引き起こしている可能性があります。
水をよく飲む病気としては糖尿病や腎不全、子宮蓄膿症(細菌が子宮内で増殖し、炎症を起こす病気)、尿石症(泌尿器系に、体に不要になった物質の塊ができる病気)などがあげられます。
犬が栄養失調になってしまう原因
総合栄養食であるドッグフードを与えていても、栄養失調になることがあるんです。
例えば、ダイエットのために脂肪分の少ないドッグフードを与えたり、おやつをあげるから1回の食事の量を減らした場合です。
犬の成長過程に応じて必要な栄養素やカロリー量があるので、素人判断で与えると、骨がもろくなったり免疫力が低下することになります。
犬にとって不要な栄養素
犬にとって不要な栄養素は、炭水化物とビタミンCです。
全く不要というわけではなく、取る必要がないと思ってください。
ビタミンC
犬は、ビタミンCを体の中で生成することができるので、サプリメントなどから与える必要はありません。
過剰になると中毒症状を起こすことがあります。
炭水化物
炭水化物はどの食材にも含まれているので、ドッグフードを与えていれば、あえて穀物類を別に摂取させる必要はありません。
過剰摂取になると、肥満や糖尿病の原因に。
犬は肉食動物で腸が短く穀物の消化に向いていません。
犬に与える手作りごはんで気をつけたいこと
手作りごはんの良さは、飼い主さんが材料を選ぶので安心して与えられるということ。
愛犬も温かいご飯に大満足でしょう。
手作りご飯で気になるのが栄養のバランスですが、「肉・魚」「穀物」「野菜」を均等に使えば大きな問題はありません。
果物、海藻なども取り込んで工夫するとよいでしょう。
おじや風ご飯にすれば、簡単にできます。味は付けてはいけません。
スープやトッピング用に冷凍庫でストックしておいてもいいのではないでしょうか。
無理をしないで楽しんで作ることがコツです。
ライフステージ別の栄養管理について
ここまで犬に必要な栄養素をご紹介しましたが、子犬と老犬では積極的に摂取したいものは違ってきます。
それぞれのライフステージでの栄養管理のポイントをご紹介します。
幼少期・子犬(0~1歳)
赤ちゃんのときはとにかく栄養を取らなくてはなりません。
高たんぱく高カロリー高脂質のものでOK。
タンパク質、脂質、カルシウム、リンなどが多く含まれるドッグフードを選びましょう!
成犬期(1~6歳)
1歳からは成犬用ドッグフードを与えます。
栄養バランスの良いものを選び、太り気味かどうかや、普段の運動量などによって量を調節してください。
運動量が少ないワンちゃんだと太りやすくなるので、炭水化物や脂質は控えめに。
老犬期・シニア犬(7歳~)
犬は7歳から老犬です。
食物繊維を多く含み、体に優しい素材を使ったドッグフードに切り替えましょう。
太らない、かつ体力をつけるため、低脂肪・低炭水化物、動物性高たんぱくのものを選ぶといいですよ。
食事だけで補えない栄養は、サプリメントを与えるのもおすすめです。
シニア犬の腸内環境が悪いと、身体にさまざまな悪影響がでます。
そこで乳酸菌の入ったサプリメントが特におすすめ。
ふりかけタイプはいつものごはんにふりかけるだけなので、楽ちんですね。
まとめ
犬の成長や健康維持に必要な栄養素。
摂りすぎても不足しても問題があります。
特に摂りすぎは病気を引き起こす要因になります。
栄養素は調味料のように測ることができないので、ドッグフード以外に与えるものや手作りのご飯を作る場合は、知識として知っておく必要があります。
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